「更年期を過ぎてから、なんとなく体が変わった気がする」
そう感じている方、多いのではないでしょうか。
ほてり・疲れやすさ・体型の変化——更年期のサインはいろいろありますが、
骨が弱くなっていることは、ほとんど自覚できません。
実は閉経後の女性の骨密度は、気づかないうちに急速に下がっていきます。
今日はそのしくみと、今からできることを管理栄養士の視点から整理します。
骨を守っていたのは、女性ホルモンだった
骨は毎日少しずつ作り替えられています。
古い骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」のバランスが保たれることで、骨の強さが維持されます。
このバランスを保つうえで重要な役割を担っているのが、エストロゲン(女性ホルモン)です。
エストロゲンには、骨吸収にブレーキをかける働きがあります。
つまり、エストロゲンがある間は、骨が必要以上に壊されないよう守られているわけです。
ところが閉経を迎えると、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。
骨吸収へのブレーキが外れ、骨が壊されるスピードが一気に上がってしまう——これが、閉経後に骨密度が下がりやすい理由です。
閉経後5〜10年が、最も骨密度が落ちやすい
骨密度の低下は、閉経直後から始まります。
特に閉経後5〜10年間は骨密度の低下が最も急激で、この時期に何もしないでいると、骨粗しょう症のリスクが大きく高まります。
男性も加齢とともに骨密度は低下しますが、女性はそれより約10年早く、しかも急速に骨密度が落ちる時期を迎えます。骨粗しょう症の患者の約8割が女性といわれているのは、このためです。
「まだ更年期の症状もそれほどないし」と思っていても、骨の変化はすでに静かに進んでいるかもしれません。
「いつの間にか骨折」が起きる理由
骨密度が下がっても、痛みはありません。
自覚症状がないまま進み、多くの場合、骨折して初めて気づくというケースが少なくありません。
なかでも閉経後の女性に多いのが、椎体骨折(背骨の圧迫骨折)です。
重いものを持った、くしゃみをした——そんな日常のちょっとした動作がきっかけで、気づかないうちに背骨がつぶれていることがあります。
「なんとなく背中が痛い」「身長が少し縮んだ気がする」という変化が、実は骨折のサインであることも。
また、転倒による手首の骨折や股関節骨折も、閉経後の女性に多く見られます。
特に股関節骨折は、その後の生活の質に大きく影響することがあります。
今日からできること3つ
骨密度の低下は、ある程度は食い止めることができます。
① 食事:カルシウムとビタミンDを意識して摂る
骨の材料となるカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDはセットで摂ることが大切です。
| 栄養素 | 多く含む食品 |
|---|---|
| カルシウム | 牛乳・ヨーグルト・小魚・豆腐・小松菜 |
| ビタミンD | 鮭・さんま・きのこ類・卵黄 |
1日の目安量(成人女性)はカルシウム650mg、ビタミンD8.5μgとされています。
食事だけで摂りきれない場合は、サプリメントで補う方法もあります。
💊 食事で摂りにくい分はサプリで補う方法も
② 運動:骨に「負荷」をかける習慣を
骨は適度な刺激を受けることで強くなろうとします。
水泳のような浮力のある運動より、重力に逆らう運動の方が骨への刺激になります。
- ウォーキング
- 軽いスクワット
- 室内ステッパー(天気に関係なく毎日続けやすい)
特別な器具がなくても、毎日の歩く時間を少し増やすだけでも違います。
③ 検査:骨密度を定期的にチェックする
骨密度は検査しなければわかりません。
閉経前後のタイミングで一度受けてみることをおすすめします。
- 婦人科・整形外科で相談できる
- 自治体の骨粗しょう症検診(40・45・50・55・60・65・70歳が対象の場合が多い)
- 特定健診のオプションとして受けられる自治体もある
「症状がないから大丈夫」ではなく、症状が出る前に知ることが大切です。
まとめ
- 閉経によるエストロゲン低下が、骨吸収を加速させる
- 閉経後5〜10年が最も骨密度が落ちやすい時期
- 自覚症状がないまま進み、骨折して初めて気づくことが多い
- カルシウム+ビタミンDの食事・骨に負荷をかける運動・定期検査の3本柱が基本
「骨密度って何歳から下がり始めるの?」という基本的な話は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
➡️骨密度が下がり始めるのは何歳から?40代から知っておきたいこと
次の記事では、「骨を守る栄養素——カルシウムだけじゃダメな理由」について詳しく解説します。

コメント